グライダー操縦の基礎 Ⅱ

2008/01/27(日)

教官の操縦で離陸し安全高度(不意の索切れに対処できる高度)に到達すると「 you have control 」 練習生に操縦桿が委ねられます。
この時グライダーが突然暴れ出すので下で見ている者にも良く分かります。
きっと、操縦席のあなたは曳航機が暴れている物と錯覚している事でしょう。
『曳航追随』 空中操作に慣れた練習生に最初の試練の始まりです。
計器や周りの景色など目に入らないでしょう。 60m先を行く曳航機を睨みつけ操縦桿をこねくり回してしまいます。
緊張で体がコチコチに固まってしまい、せっかく旋回練習で覚えたラダー操作ができません。 初心者は意識以上に足が動きませんから、足(ラダー)が80%・手(エルロンとエレベータ)が20%位の感覚でちょうど良いでしょう。
写真は、R/W32から離陸しアップウィンドを上昇中の後席から、ベテランK機長の右肩越しに撮影、高度計は630mを指し曳航機の水平尾翼がストラットの中央に位置して適正なレベルをキープしている事が分かりますね。
またもないしょですよ、以下3項目が 『曳航追随』 の極意です。
1.ズレが大きくならない前に小まめに修正すること。
2.上下のズレはトリムをしっかり合わせてレベルをキープする。
3.左右のズレは足(ラダー)から修正する気持で手(エルロン)小さく。
曳航中の速度は130km、大きな操作は更に大きなズレの原因!忘れないで! それにしても晴れた青空に映える雪化粧の八ヶ岳やアルプスは美しい眺めです。

グライダー操縦の基礎 Ⅰ

2008/01/20(日)

久し振りにクラブのフライトに参加してみたら新入会員が4名も!
新人さんのサポートは先輩パイロットとして当然の勤めですから操縦練習の重要なポイントを伝授させて頂きます。
初心者の練習は水平直線飛行から左右の緩旋回と進み、同時に『空中感覚』に慣れることから始まります。
『空中感覚』とは文字どおり空の中に存在する自分の事で、機体の姿勢を地平線(山の稜線)や空の見え方で判断し、風きり音から速度の変化を察知したりする感覚で視覚・聴覚の他に体に掛かるGなど、離着陸を含め全ての練習において極めて重要な要素になるので、毎回の練習で繰り返しマスターしましょう。
写真は、離脱直後で計器高度900m中央の釜無川を挟んで右に双葉、左上に韮崎の2本の滑走路が見えますか?
ないしょで教えますね、以下3項目が初心者上達の極意です。
1.インターバルを空けないで積極的に練習に参加する。
2.まだ初歩の段階、上手く出来なくて当たり前と開き直る。
3.練習後に教官のアドバイスや反省点をノートに記録する。
今のうちは習うより慣れろです! また滑空場で会いましょう。
韮崎11:01~韮崎11:14 0+13
韮崎13:43~韮崎13:57 0+14

この瞬間があるから

2008/01/14(月)

それまでの緩やかな道から一転して、女岩の水場を過ぎると沢状の急な斜面のジグザグ道に変り、このコース上で一番の辛い登りが始まった。
さらに、この時期は足首まで積もったブナの落ち葉をラッセルしながらの急登で、滑る足元に気も使う。
だがそれもしばらくの辛抱で、冬枯れの木々の合間から覗く青空が次第にその面積を増し、稜線が近いことを感じさせてくれる。
ほどなく道が右に回り込んだ次の瞬間、突然大きな空 (写真)が現れ、ここまで来て初めて眺望が開ける。
今まで頑張ってきた単調で退屈な登りも、気が付けば隣の曲岳を見下ろす高度まで稼いでいたのだった。
苦労が報われる、この瞬間があるから山が好きなんだと思う。
頂上まで20分、冬晴れの青空に映える雪景色の金峰山を右手にラストピッチを軽快に駆け上がった。
深田口11:55~茅ヶ岳13:45 1+50
茅ヶ岳14:15~深田口15:30 1+15

素朴な山小屋のホットなあるじ

2008/01/06(日)

寒さが本番になる前に、もうすぐ還暦を迎える山小屋丸川荘のオーナーで彫刻家の只木貞吉さん(10年以上の親友)にプレゼントを届けたかった。
シーズン中は百名山人気で賑わう大菩薩の玄関口も、冬季は上日川への林道が通行止めの為か閑散として寂しい。
でも冬枯れの樹林帯は明るく、寒の入りとは思えない様な暖かな陽射しに大粒の汗が流れ急登に息も弾むが、小屋で待っている友を思えば辛くはない。
急な尾根道を登り切り、笹が茂る平坦な道になると青いトタンの丸川荘(写真)が見えて来る。(進行方向が柳沢方面で背面には富士山)
峠の地形は南北に開け、東西にすり鉢状の起伏を形成して偶然にも素晴らしい天然の音響効果に恵まれ、野外ステージで毎年開催される「峠の風コンサート」では大菩薩に大自然のエコーを響かせてくれる。
小屋のあるじは物静かな印象とは反対に、内に秘める想いは熱く、永年木彫りに打ち込んできたその卓越した技能が認められ 昨年、森の名手・名工(山梨県で2人)に選ばれた。また温厚な人柄で多くの登山者からも慕われている。
60歳の若者、情熱と溢れるエネルギーで今年も更なる活躍に期待したい。
裂石口08:40~丸川峠10:20 1+40
丸川峠11:30~裂石口12:30 1+00