グライダーで茅ヶ岳
2008/04/27(日)
滑空比10:1(滑空距離=高度の10倍)を技術も経験も未熟な自分に設定して単座機で1回目の茅ヶ岳に臨んだ。
曳航機に通常の離脱高度+600mをリクエストして茅ヶ岳の南面に向うが荒れた気流に翻弄されグリーンバレイ1230mで離脱する。
しばらく小さな上昇気流を捕らえ様子を探った後で、饅頭峠から延びる南尾根にアタックするが、大きな下降気流に阻まれ行きつ戻りつの苦戦をしいられる。
また、低い対地高度も大きな不安材料でカメラを取り出す余裕も無い(写真は4月13日に撮影した今回の撤退地点から、水平距離で5km北に位置する茅ヶ岳の山頂と右に窪んだ観音峠)
こちらの窮状を察知してか双葉の管制塔から南東風が告げられて来た。
曳航中に揉まれた気流からも風向が定まっていない事は容易に理解できるが、さらに東寄りの成分が強まれば斜面上昇風どころじゃない昇仙峡を越えて来た風でこの緩やかな丘陵地は下降風帯に変貌してしまうだろう。
そう考えた時、機首は韮崎に向いていた。
曳航機に通常の離脱高度+600mをリクエストして茅ヶ岳の南面に向うが荒れた気流に翻弄されグリーンバレイ1230mで離脱する。
しばらく小さな上昇気流を捕らえ様子を探った後で、饅頭峠から延びる南尾根にアタックするが、大きな下降気流に阻まれ行きつ戻りつの苦戦をしいられる。
また、低い対地高度も大きな不安材料でカメラを取り出す余裕も無い(写真は4月13日に撮影した今回の撤退地点から、水平距離で5km北に位置する茅ヶ岳の山頂と右に窪んだ観音峠)
こちらの窮状を察知してか双葉の管制塔から南東風が告げられて来た。
曳航中に揉まれた気流からも風向が定まっていない事は容易に理解できるが、さらに東寄りの成分が強まれば斜面上昇風どころじゃない昇仙峡を越えて来た風でこの緩やかな丘陵地は下降風帯に変貌してしまうだろう。
そう考えた時、機首は韮崎に向いていた。
韮崎~韮崎13:24~14:06 0+42(離脱1230m)
韮崎~双葉15:59~16:19 0+20
韮崎~双葉15:59~16:19 0+20
グライダーと茅ヶ岳 Ⅱ
2008/04/13(日)
グライダーで茅ヶ岳に昇るイメージを確立する為ファルケを借りて地形慣熟と斜面上昇風を捕える練習飛行を行った。
午前中は弱い北風だったが午後からは一転して南西風に変り、双葉の滑走路ではお決まりのクロス(横風)が吹き始めた。
本番でも、この強い南西風を利用して茅ヶ岳の南西側に発生する斜面上昇風を捕えて獲得高度1000mを狙う。
離陸後、高度1200mまでエンジンで上昇しながら山肌に接近して、上昇気流に入った所でエンジンを切ると昇降計は毎分+30mのレートを指し、一人とはいえ重量の有るモーターグライダーに強力なリフトを感じた。
だが一度、尾根の風下側に回ると強烈な下降風帯と変貌して見えない風を読む難しさも知った。
写真は、茅ヶ岳の南面に点在する5ケ所のゴルフ場のひとつを対地150mまで降下して見下ろす。
午前中は弱い北風だったが午後からは一転して南西風に変り、双葉の滑走路ではお決まりのクロス(横風)が吹き始めた。
本番でも、この強い南西風を利用して茅ヶ岳の南西側に発生する斜面上昇風を捕えて獲得高度1000mを狙う。
離陸後、高度1200mまでエンジンで上昇しながら山肌に接近して、上昇気流に入った所でエンジンを切ると昇降計は毎分+30mのレートを指し、一人とはいえ重量の有るモーターグライダーに強力なリフトを感じた。
だが一度、尾根の風下側に回ると強烈な下降風帯と変貌して見えない風を読む難しさも知った。
写真は、茅ヶ岳の南面に点在する5ケ所のゴルフ場のひとつを対地150mまで降下して見下ろす。
双葉LCL09:44~10:09 0+25
〃 10:25~10:55 0+30
〃 14:15~15:10 0+55
〃 10:25~10:55 0+30
〃 14:15~15:10 0+55
地獄の訓練の日々 完
2008/04/12(土)
苦手な無線交信を克服する為にT教官が用意したのはカセットレコーダーだった。
無線機のモニターに接続され練習機の右席のポケットに収まったカセットに自機のボイスはもちろん同じ周波数を利用する他機と管制塔との交信もノイズの無いクリアーな音質で録音された。
このカセットを借りて通勤のカーステレオで繰り返し何度も聞く「耳で覚える練習」が功を奏し困難な課題をひとつ乗り越える事ができた。
他にも幾つもの失敗に悩み苦しみながら怒られる事の方が多かった地獄の訓練の日々だったが、いつも絶望の淵ギリギリで解決のヒントを与えてくれた。
そのお世話になったT教官の35年間、一万八千時間にも及ぶプロパイロット人生のラストフライト(横風が強くなり撤収)に発航の順番が当ったのは偶然とは思えない気がして、 安全高度(600m)まで上昇したら面と向っては言えない感謝の気持を苦手だった無線で伝えようと決めた。
曳航機からの離脱(930m)がT教官との別れを意味するから、もう僅かな時間しかない。考える暇も無くマイクのボタンを押したら辛かった訓練の思い出と言葉に尽くせぬ想いが溢れてきたが、『無線は簡潔明朗に!』の教えを守って精一杯の気持を伝えた。
写真は、実技試験1ヶ月前のFlight Logbook(飛行日誌)のページと、訓練に使用したマイク&イヤホンにT教官所有と同型のカセットレコーダー。
追伸・・・突然の夕立に見舞われ助言を求めた時でした『あなたが機長でしょう!自分で判断しなさい!』あの怒号は生涯忘れません。ありがとうございました。
無線機のモニターに接続され練習機の右席のポケットに収まったカセットに自機のボイスはもちろん同じ周波数を利用する他機と管制塔との交信もノイズの無いクリアーな音質で録音された。
このカセットを借りて通勤のカーステレオで繰り返し何度も聞く「耳で覚える練習」が功を奏し困難な課題をひとつ乗り越える事ができた。
他にも幾つもの失敗に悩み苦しみながら怒られる事の方が多かった地獄の訓練の日々だったが、いつも絶望の淵ギリギリで解決のヒントを与えてくれた。
そのお世話になったT教官の35年間、一万八千時間にも及ぶプロパイロット人生のラストフライト(横風が強くなり撤収)に発航の順番が当ったのは偶然とは思えない気がして、 安全高度(600m)まで上昇したら面と向っては言えない感謝の気持を苦手だった無線で伝えようと決めた。
曳航機からの離脱(930m)がT教官との別れを意味するから、もう僅かな時間しかない。考える暇も無くマイクのボタンを押したら辛かった訓練の思い出と言葉に尽くせぬ想いが溢れてきたが、『無線は簡潔明朗に!』の教えを守って精一杯の気持を伝えた。
写真は、実技試験1ヶ月前のFlight Logbook(飛行日誌)のページと、訓練に使用したマイク&イヤホンにT教官所有と同型のカセットレコーダー。
追伸・・・突然の夕立に見舞われ助言を求めた時でした『あなたが機長でしょう!自分で判断しなさい!』あの怒号は生涯忘れません。ありがとうございました。
地獄の訓練の日々 Ⅱ
2008/04/06(日)
T教官との訓練で最も時間を費やしたのがナビゲーション(航法訓練)だった。
出発前にコースと目的地が指示され往復のフライトプランを作成して離陸する。
機内では経由地点間の所要時間から対地速度を算出して到着予定時刻を予測する。また、位置通報や最新の気象情報などの無線交信も有り、これらすべてを精度の高い操縦(針路・高度・速度の維持)をしながら行い計器や他機の監視も怠れず注意力の分散が要求される。
右席の教官は「全部一人で出来なければ機長としての資格は無い」と言わんばかりに、忙しい左席とは対照的に腕組みしたまま渋い顔で一言も喋らない。
低速の練習機でも集中していると時間の経過は早く、あっという間に空港は近づき着陸準備と苦手な無線交信を意識して緊張はピークに達する。
大きく深呼吸をしてから周波数を切り替え管制塔をコールすると早口の英語で指示が帰ってきて、これがなかなか聞き取れない!「 say again 」 を繰り返したら教官にマイクを奪い取られてしまった。 ...continue
写真は、航法訓練に使うコンピューター(計算盤)とプロッター(分度器&定規)などのグッズ、時間はUTC、速度はノット、高度はフィート、距離はマイルと、慣れない単位が計算をさらに難しくしている。
出発前にコースと目的地が指示され往復のフライトプランを作成して離陸する。
機内では経由地点間の所要時間から対地速度を算出して到着予定時刻を予測する。また、位置通報や最新の気象情報などの無線交信も有り、これらすべてを精度の高い操縦(針路・高度・速度の維持)をしながら行い計器や他機の監視も怠れず注意力の分散が要求される。
右席の教官は「全部一人で出来なければ機長としての資格は無い」と言わんばかりに、忙しい左席とは対照的に腕組みしたまま渋い顔で一言も喋らない。
低速の練習機でも集中していると時間の経過は早く、あっという間に空港は近づき着陸準備と苦手な無線交信を意識して緊張はピークに達する。
大きく深呼吸をしてから周波数を切り替え管制塔をコールすると早口の英語で指示が帰ってきて、これがなかなか聞き取れない!「 say again 」 を繰り返したら教官にマイクを奪い取られてしまった。 ...continue
写真は、航法訓練に使うコンピューター(計算盤)とプロッター(分度器&定規)などのグッズ、時間はUTC、速度はノット、高度はフィート、距離はマイルと、慣れない単位が計算をさらに難しくしている。