雲居小桜(クモイコザクラ)

2022/05/29(日)

登山では1度切りで終る山と、何度も繰り返し登りたい山がある。今日は3度目になる鞍掛山(2037m)に登った。登山口まで車で50分ほど、途中の国道から西に仰ぎ見る鞍掛山は、文字通り馬の背に掛けた鞍の形をしていてる。この山一番の魅力は、映画館の最前列で見るような壮大なスケールの甲斐駒ヶ岳の全容にある。女人禁制の山岳信仰の時代に女性修験者はこの山で甲斐駒を拝礼したと伝わる。展望地には強力が運んだ石仏や祠が残り往時が偲ばれる。快晴が約束された今日はこの眺望だけでも十分だが、この時期は頂上直下の岩壁に自生する雲居小桜(クモイコザクラ)が見頃を迎えている。今月3日には日向八丁尾根の中間点になる大岩山まで登ったので、今日は体力的にも心理的にも気楽だ。1+15で誰も居ない日向山を通過する。雁ヶから先の痩せ尾根を慎重に通過して、1+50で帰路に下る錦滝の分岐を通過した。錦滝から登った3日より少しだけ早い。ここから胸突き八丁の急登が始まる。雪道に風が出て、寒くてジャケットを羽織った4週間前が嘘のようにTシャツ1枚でも汗が流れる。駒岩の分岐は左折し、南に急降下して鞍部でクモイコザクラ(写真)と再会する。個体数は減少しているようだが明るい陽射しの下、元気に可愛い花を咲かせている。さて最後の登りだ。新しく整備されたクサリや木の根を掴んで這い上がる。目標タイムを15分短縮して誰も居ない展望地に到着した。南アルプス北部を一望する文句なしの絶景、歴史と文化が色濃く残るクラシックルート、それにいつ来ても静かな山域。体力が続く限り何度でも登りたい山である。  TX
矢立石06:05~鞍掛山09:50 3+45(日向山経由)
鞍掛山10:50~矢立石14:00 3+10(錦滝経由)

37/甲斐百山・大岩山

2022/05/03(火)

甲斐駒の黒戸尾根に並ぶ急登の八丁尾根が日向山から鋸岳に延びる。その中間点に今日計画の大岩山(2319m)標高差1250m、健脚度☆☆☆困難度★★がある。5時フロントガラスの霜が凍っている。不安定だった昨日に変わり、今日は高気圧に覆われて快晴の青空が保証された。ただ5月としては気温が低目なのでトランクに冬山装備を追加した。6時に矢立石に着く。朝食と身支度の間に、大型ザックにピッケルを括った単独男性が錦滝方面に向かって行く。先行者を見て自身も錦滝を登り日向山を下る計画に決める。ゲートに通行禁止の看板がある。鞍掛山まで過去に2回、不動滝~錦滝~日向山も2年前に登って3年前の台風19号による被害状況は確認してある。確かに崩落は現在も進行中で危険だ。ロープを頼りに速やかに通過する。錦滝からは這い上がるように尾根を上がり、途中からトラバースして出発から1+50八丁尾根に乗った。しばらく休む。前半に難所を通過したから後半は体力だけの勝負になる。長丁場のピストンだが、日没までに雁ヶ原に戻れば、後はヘッドランプで日向山を越えて帰れる。それにしても良い天気だ。左手に鳳凰三山が甲府から見た逆の順番に並んでいる。さらに甲斐駒も凄まじい迫力で迫ってくる。鞍掛山分岐までに単独男性3人とすれ違う。みな車中泊などで早出し、景色が最高と興奮気味に話す。やがて薄っすらと雪道になる。3日前の雪だから余り汚れていない。キュッキュと心地よい足音を聞きながら頑張る。分岐を左に見送って直進方向へ未踏の大岩山を目指す。急にトレースが薄くなるが、要所の赤テープが有り難い。雪も増え、風も出て寒くジャケットを羽織る。出発から4+30駒薙ノ頭から(写真)この尾根の終点で最高点の烏帽子岳(2594m)を望む。小さく下って最後の登りは雪の踏み抜きに難儀する。直下で今日4人目で最後の単独男性の励ましを受け、目標5分超過で誰も居ない山頂に立った。 TX
矢立石06:15~大岩山11:20 5+05(錦滝経由)
大岩山12:00~矢立石16:00 4+00(日向山経由)