「徹底的に好きなことに没頭したい」
登山とフライトの合間に仕事をする。
そんな暮らしが目標です。

１０月に入っても秋雨前線が居座り、この季節本来の抜けるような青空を見る日がなかった。それでも気温は確実に下がり、北から降りて来た寒気が富士山や南アルプスに初雪を届けた。甲府でも金曜と土曜は上空に寒気が入り大気は不安定に、連日午後は降雨が有ったが日曜と月曜に待ちに待った快晴マークが点った。今年は北岳と甲斐駒、それに未踏の笹山を目標にしていたが、天気と仕事で登れない日々が続き、気力も体力も萎えてしまった。このまま達成感のない山の一年を終えるのは本意ではない。申し訳ないが毎月第三日曜の消防訓練は休ませて頂き、ハードな山を好むＹ君を誘い４時に青木鉱泉に向け出掛けた。目指すは鳳凰三山の薬師岳（２７８０ｍ）日帰り。中道ルートの標高差は１５００ｍで標準タイム往復９時間１５分のロングコース。日没が早い季節だからヘッドランプでのスタートは当たり前だ。途中のチェックポイントが少ない単調な樹林帯の急登が延々と続く。花も眺望も無いから退屈極まりない。やがてシャクナゲの群生地を過ぎ、森林限界と同時に白砂青松の山頂に飛び出した。正面には野呂川の深い谷を隔て北岳のバットレスと手前にイルカ岩（写真）が迎えてくれた。快晴そよ風の文句なし快適な山頂で３６０度の絶景に囲まれ過す贅沢なひととき。昨年建て替えた薬師小屋を訪ね下山リミットを２５分超過して山頂を後にした。